田森佳秀「鼻血と放射線の関係は風評と確認されている」

茂木健一郎美味しんぼ関連Tweetに田森佳秀という人がRTして同意しているのだが、そこに「さらりと」

「鼻血と放射線の関係」については、
広島&長崎の膨大なデータによって風評であることが確認されている。
という一文を滑り込ませていて、相変わらずガクシャってのはデマの広げ方がうまいと思った。「こうでこうでこうなんです!」という主張はツッコミ待ちの潔さがあるが、このように「さらり」と述べられると、知らない人は「あ、そうなの?」と無条件に飲み込みやすい。
で、長崎大学原爆後障害医療研究所のサイトに鼻血についての記述があることを示し、これが風評となった経緯の解説を求めたらなしのつぶて。まさに「市井の専門家の御用っぷり」のテンプレどおりで笑ってしまった。ちなみに田森氏、専門はなんちゃら工学だそうです。
ちなみに原爆症の鼻血についての上サイトの記述はこう。
出血も原爆症に特有な症状で、中でも皮下に
出血して斑点を生じたものが最も多く(四五・一%)、
次は血便(三三・三%)、歯齦出血(二七・八%)、
鼻血(二○・四%)、吐血(一八・五%)等で、
この外血尿(九・三%)、喀血(八・六%)、
結膜出血(四・三%)なども見られた。
出血も早期に大量に見られたものほど予後が不良であった。
震災直後の御用学者たちを見ていても思ったことだが、学者に現実に起きていることへの責任能力を期待しちゃいかんな。その手のプレッシャーは自由な発想を奪うし政治的な方向付けを強いるものだから確かによくはない。まして彼らは「私はこう思う」ではなく「○○学においてはこうなる」ことを示すのが本義だから、自分が世に放った言葉に自分で責任を持つという素養がないのだろう。
けど、ならば「○○学ではこういうことになっているよ」程度の物言いが分相応だし、それをして世の中、特に社会のことを断ずるような権限を持たせるべきではないんだよね。本当は。世の、特に放射能の人体への影響を気にする人は「○○学ではこうなっている」なんてトリビアじみた話を聞きたいのではなく、「信じていいんだな?」と聞きたいんだよ。それがもし間違っていたらうちら死ぬんだけど、そうなった時にあんたは責任取れるんだな?と叫びたいんだよ。
もちろんいち学者(どころか畑違いの「専門家」)ごときに人の生き死にへの責任が取れるはずがないことは分かっている。自分の研究にそこまでの自信を持って世に放っている学者など「ほとんど」いない。けど、非常時において、学者や専門家の言葉は多くの人の生存に関わるのだという実感くらいは持っていてくれよと思う。そんなのもないくせに「大衆はこれだから」などと見下す輩があまりに多いからこそ、オレはガクシャを名乗る人間を唾棄すべき存在として語って来たのだ。
ちなみに、田森氏から「鼻血と放射線の関係は風評」であることの「緻密でオープンな説明」があった場合、このエントリは謝罪の上削除することになるだろう。そうなればいいと私は切実に思っている(なにしろ知人の命が懸かっている)が、そうでない場合、今後田森という人がいかなる場でいかにいいことを述べようと、彼の言葉は信ずるに値しないものと判断させて頂く。