高プロ「対象者が業務命令に従う義務がない」は条文に明記せよ

この記事への反響が意外と薄い。
https://mainichi.jp/articles/20180606/k00/00m/010/150000c
立憲民主党石橋通宏氏は、法案に高プロ対象者に対する労働時間に関する業務命令の規定がないことを問題視し『高プロ対象者に裁量権はあるのか』と質問。加藤勝信厚労相は『時間帯や時間配分を労働者自らが決定すると省令に位置づけ、運用されていくことが必要となっている』と述べ、対象者が業務命令に従う義務がないことを省令に明文化する考えを示した」
実はこれ、相当重要な発言で、ずっと「働かせ放題」の根拠とされてきた「所定労働時間には従わざるを得ない以上、社にたとえ24時間労働を指示されたとしても合法」が崩れるのだ。何しろ労働時間を自分で決めることができるのだから。
ただし穴はすでに指摘されていて、つしまようへいさんのこのツイート
https://twitter.com/yohei_tsushima/status/1003787272456581120
高プロ。働く時間や場所を指示できないとする規定を省令で定めるらしい。でも、企業は人事権も懲戒権も手放しません。それさえ握っていれば、企業は従業員を相当コントロールできます。高年収の霞が関の官僚たちを見てください。人事権を握られたことで不正にも手を染めるくらいですから。」
また、会議その他の「社との連携」を図る時間を指示できなくなるなど、別な問題も生じることになる。また、対象労働者の権限が増す分、与えられる仕事も余計に増やされるかもしれない。
けどだからといって、条文上「柔軟な働き方」が全く保証されうる規定がなかったこれまでと比べれば大いなる進歩なのは確かだろう。これが徹底されれば少なくとも単に労働時間伸ばさせたい会社による悪用は出来なくなる。「働かせ方の自由」がこのことによりむしろ制限されるからだ。
なのでまず何より、このことを「省令で義務化」と言わず、違反した場合の罰則含め条文に盛り込んで欲しい。口約束では信用ならんし、省令でだといつでも変えられる恐れがある。その上で、そこから生じる問題についてテッテ的に話し合って頂きたい。
完全に欠陥法案だった高プロも、「働く時間を決めるのは労働者」との規定が入れば骨格くらいは出来上がる。逆に、それを明記することに戸惑うなら、与党は単に働かせ放題を志向してただけ、とのそしりを免れまい。
凄く、大事なところだと思うよ。