こんな書店は潰れていい

慰安婦や南京なんかも含め、日本という国の中枢にいる人が歴史を無視しているからこそ、近年のヘイトが調子こいているというのは前提。なのであのバカな中枢の連中に歴史を教えてあげるのがヘイトを止める一番の方法なのは間違いないのだけれど、こっそり眺める竹島の日にかこつけたヘイト騒ぎを見るにつけ、やっぱもう、そんな原則論ではどうにもならないところまで来ている気がする。
なので、こないだ「ヘイトやめさせるために本屋をつぶすなんて!」と噛みついたばかりであるおいらなのだが、こういう本屋ならつぶしていいんじゃね?みたいなものを考えて見た。
1)人文書が常備のみでメンテされていない
常備というのは平たく言えば出版社の出張倉庫。普通は書店が欲しい本を取次や出版社に発注するわけだが、常備の場合書店は出版社に倉庫を貸しているようなもんだから、その際にかかる費用がない。大体ロングセラーや定番で構成されているが、その選び方は売上重視の場合が多い。そのくせフリーメイソンの会員が書いたトンデモ本がさっぱり売れないのに「日本史」のところに入ってたりするのを見るに、相当出版社の「私情」が入っているようだ。
できたばかりの書店や、店員の少ない、メンテに手の回らない書店で重宝されるシステムだが、要するになーんも考えてないということ。見分け方は本のスリップ(買う時レジで外されるしおりみたいなアレ)に「常備」と書かれている。人文棚の新刊以外の本が並んでいるあたりを見て、常備スリップだらけなようなら要するにやる気なしってこと。人文棚はわりとカテゴリ分けに困った本の流れ込む墓場的な扱いを受けやすく、担当者すらいない場合がある。差しの本の上に埃が積もってたら多分それ。「無自覚にヘイト」という点では最も同情の余地がないし、書店としての姿勢がなっちゃいないということにもなる。
2)手書きのポップでヘイト本礼賛
これは故意のヘイト助長という点で最も悪質だが、ぱっと見手書き風のポップを出版社が用意していることが近年多いため、一応確認を。だいたい紙質で分かる。逆に言えばフェア台にポップだらけのヘイト本特集が組まれていても、手書きポップがない場合は完全に出版社主導かもしれない(書店員は出版社とケンカできない。売れ筋の入荷が懸かっているから)。本当に故意にヘイト助長かどうかの区別に一番いいのは店員に「このまえネトウヨにからまれちゃってえ」などと話しかけること。店長クラスに話しかけ、担当を呼んでもらうのがベスト(店長と担当の力関係がよくわかる)。そこで担当が「今じゃ南京あったなんて恥ずかしくて言えません」などと言い出したら殴っていい。ヘイト本嫌いな店員ならすぐ分かる反応をするし、「それがいやだからこういう棚つくってんですよ!」みたいなアピールを始める。
3)大川本の扱いが丁重
今や完全に日本会議の下僕と化している感がある幸○の科学なのだが、大○隆法本が棚をデカデカと埋めているからこの本屋ダメ、と言い切れないのが困ったところ。なにしろやつら、注文なんて一切してないのに必ず一定量入荷される。上でどのようなやりとりがされているかは知らないが、大体どの店でも同じようだ。その上あの本のあまりのトンデモぶりのため、楽しんで買っていく「マニア」までいる模様。大体宗教本は教祖の主張ばかり書いているところが区別のポイントなのだが、最近の彼らは「宗教学の観点からみた幸○の科学」みたいな本まで出して、研究書を偽装するスキルまで手に入れた模様。信者として、本当に涙ぐましい努力をしている。
池田大作本同様、日本史、宗教と並べたその次に入れて、その直後にトンデモ本(日月神示とかアセンションとか)を入れるのが定石だが、日本史カテゴリに大川本を置いているようならアブないと見ていい。
4)カテゴリ分けが妙に執拗
一応断って置くが、その本が「文芸」なのか「ビジネス」なのか「人文」なのかを決めているのは出版社である。本の背表紙にはISBNと一緒に「Cコード」というのが印刷されており、それに出版社がその本をどうカテゴリ分けしたかが明記されている。コイツのおかげで多くの書店が小林よしのりの一連を人文棚の日本史カテゴリに置かざるを得なくなっているのだが、パートばかりの書店では結構役立つもので、例えば私の勤めていた店で、ちょっとアタシ本に詳しいのヅラした文芸担当が船戸与一の小説「満州国演義」を人文棚に持ってきたことがあった。こういう混乱はCコードを見ていれば避けられるというワケ。
なのだが、ヘイト的な意味で「詳し過ぎる」ヤツがいるとすぐ分かる。本来ビジネス書や国内政治にあるべき麻生安倍本や文芸にカテゴリ分けされることが多い中国バカですみたいな読み物系を一気にまとめ、悦に入っている担当というのがどうもいる模様。一時的なフェアでなく、普通の売り場にCコードバラバラのヘイト本コーナーがあるようならその担当はビョーキ。
他、韓流だいすき雑誌やムックというのは相変わらずそれなりの売上がある上、雑誌ほど売上重視なカテゴリはないのに韓流コーナーがない店(さすがに見たことないが)があったとすれば危険。いつ行ってもSAPIOや正論やWILLが平積みされているところも同様(いつも大量ってことは売れてないにも関わらず量を入れてるってこと)。棚差しでなく面陳(表紙が見えるように陳列すること。限られた棚でこれをやるのは相当売りたい本)にヘイト本ばかりが並んでいる店。などなど、書店毎の「ヘイト本気度」は、わりと露骨に分かるというのがお分かり頂けると思う。同じ会社でも店舗ごとに結構違う。
さて、抗議の仕方だが、これはまず投書だろう。デパートやSCのテナントとして入っている店だと、投書のコーナーがあって用紙があって手軽だし、投書そのものが「お客様の声」として晒されるので店は結構慌てる。書き方は乱暴な文面は避けた方がいい。なにしろ「おしごと」でやってる連中ほど、「こいつガキか」と思えてしまう文章への見下し方は露骨になる。世でヘイトがこれだけはびこっているのに、文化振興の一翼を担う書店がこのような姿勢であることに疑問を覚えます、みたいな、微妙に持ち上げた言い方が多分最も効果的。社長あたりの目に留まればなにかしらのアクションがきっとある。
また、あくまで「お客様の声」であることこそ重要なので、それが「運動」であることは隠し通すのが定石。唐突に何通も来ると流石に疑われるかもなので、ある程度目立った動き(ヘイトフェア的な)があった時に集中して出すか、そうでなければある程度間を空けて送る。もちろん一人一枚。一人で何枚も出すと途端にクレーマー扱いになるのが客商売だし。
あと、これは地方都市限定だが、土地の有力新聞への投書も効くはずだ。地方中小企業のエラい人というのは地域文化への貢献とかしょっちゅう吹いているので、会議なんかの訓示に「今日の新聞で」とかやらかすことが多い。その新聞に自社の悪口が書かれていれば、まあ間違いなくアタマに血が昇る。「知り合いの韓国人が泣いてました」とか書くと尚更効果的、かもしれない。知らんけどw
そんなわけで、
…以上をもって、「元書店員として」の書きものは封印しようと思う。当方職を失って以降専門学校で親子ほどにもトシの離れたクラスメイトと過ごし、この春から介護福祉士として久々の正社員となる。書店とヘイトについて書きたいことはまだたくさんあるし、相変わらず知り合い相手にぐちゃぐちゃやってはいるのだが、書き手としての立場はもういい加減切り替えるべき時が来ている。