「店員」こそが主役なんだがね、本当は。

休日夜を吉野家で済ます浅ましさ。てなわけで吉野家の話なぞを。
値上げで話題になってるけど、あの世界についてはオイラ、問題は値段とか材料費とかとは別なところで言って置きたいことがある。
吉野家並が400円だったくらい前の頃には、あそこのメニューには牛丼、牛皿、そして納豆定食の三品しかなかったってこと。
材料代とかなんだとかだけ見てれば関係ない話だが、実際働くとあの手の店、メニューが一品増えるごとに従業員の作業効率は落ちるし仕事量も増える。そういうことがあまりにも語られて来なかった。今の吉野家を見て「早い、安い、うまい」の三拍子をお題目どおりに捉えるのは不可能だ。どうあったって時間がかかる。吉野家はまだマシで、鍋メニュー導入にあたりスタッフへの負担、客の待ち時間というものに対してかなりの研究をした上でやっていると聞くが、他社に変に対抗してメニューを「充実」させた時点で吉野家は「早い」を捨てたと見ていた。常連は分かっていて、昼の混んでる時間帯にはせいぜい牛丼とサラダ程度でさっさと出て行く。しかし行列が出来て店中がてんてこ舞いの中、ボックス席を占領して鍋をつつきながらくだらんおしゃべりしてる輩ってのはいる。(「空気読めないな」とイラつく以外に彼らに罪はない。そういう店とカンチガイさせるような店にしてしまった経営の罪である)
すき家では今「鍋の乱」が始まっているらしい。冬季限定の鍋メニューひとつのために現場が「もうもたない」と匙を投げるのだ。本当かどうかは確認していないが、鍋が始まった途端辞めるバイト、無断欠勤のバイトが続出で、実質5.29のストライキ同様なことがあちこちで起きていると言う。
こういうことをさ、材料費とか日本経済とかのくくりで語るのは無理がありますよ。実際。
「最近の若者はだらしない」とか言ってる人、彼らの一日をあんたさらっとこなせますか?断言してもいいや。絶対ムリですよ?
似たような問題はコンビニにも、もちろん本屋にもあるが、「店員」とひとくくりにされる現場仕事というものが今、日本の小売業、外食産業で低く見られすぎているのである。何度でもしつっこく書くが、株主様とか経営とか、そういう連中のゴリ押しのせいで。
言われたことをやるのは作業であって仕事ではない、というのは確かにそうだ。しかし作業をきちんとこなす人がいなければ「仕事」なんて誰もできないんだってことを「非現場」の人たちは分かっているか?あんたらと(非正規雇用とはいえ)彼らは、どちらが欠けても商売が成立しない、そういう関係なのだと理解できてるか?
ありえない労働量の現場をきちんと回している有能なバイトってのはいる。彼らをどんどんヘッドハンティングしてその能力に見合った場を提供してくれる会社ってないもんかね?「何人やめてもそういう奴が残ればいいや」みたいな経営してる連中を尻目に今の日本で伸びて欲しいのはそういう会社だ。下手な面接やリクルートスーツの着こなしをジトジト眺めて新卒探しなんてしてないで、人事やってる人は今日の昼食に行く牛丼屋で光ってる人を迎えた方がいいぞ。絶対「使える」ヤツだから。