シャッチョさんがみなネトウヨになる日

屁理屈書いててもしょうがねーか。ってことでいい加減xxデモ騒動の話はやめる。
今日上司から「読むように」と渡された「致知」なる雑誌が物凄い。
人間学を磨く月刊誌」なるアオリで、なんというか、各界の成功者のウンチクをひたすら紹介するような雑誌。Twitterでお世話になってるリベラル思考な方々が見たら大変なことになる予感ひしひしだ。ふと見れば定価は1050円。装丁が週刊新潮とかと変わらないことを思えば広告が少ないことを鑑みても月刊誌としてはべらぼうに高い。どうも「経営者」とか「コンサルタント」とか、そういう人種(と言ってもいいだろうあの紋切型っぷりは)に読まれているらしく、唯一の連載漫画は「うちの社長の器学」。経営者目線の「あるある」を切り取る作風となっている。成功者、道を究めた者なら有名無名問わず紹介するスタンスが、全国中小企業の経営者にはたまらないのだろう。全国各地に「致知愛読者の会」である「木鶏クラブ」というのがあり、その支部の数を見ると物凄い量だ。こんなネタ臭満載な雑誌を自分はなんで知らなかったんだろうと調べてみると、一般の書籍流通には乗っていない雑誌であるらしく、なるほど雑誌コードもバーコードも見当たらない。けどそんな雑誌の「愛読者の会」がこれだけ盛況なのを思うと、なにやら恐ろしくなってくる。
いやね、普通の「人間学を磨く」感じの記事は結構、おもしろいのさ。そういうことってあるよなあ、そんな人がいたのか、こりゃ負けてられん、みたいなことがいろいろ書いてあって。柔道の山下と横綱白鵬の対談とか、山下への懐かしさもあって楽しく読んだ。
けど、まあ例えば「あの」潮流社の社長の連載では「ジャーナリズムと日本の是正は日本再生の重要な鍵である」なる、どこかで聞いたようなタイトルが踊っているし、「日本の教育を取り戻す」なるジンマシンが出そうなタイトルの連載をしているのはこれまた「あの」占部賢志。さらにめくれば次の連載を執筆してるのは「あの」をつける必要もない渡部昇一だ。極め付けは自社広告の「人間力を高めるCD」にあった田母神の「私の国防論」
一体この雑誌のどういう趣旨がネトウヨ的主張に繋がるのかさっぱり分からんのだが、とにかくそうなっている。
田母神の与太の何が「人間力を高める」んだかさっぱり分からんけど、とにかくそういうことになっている。
これは怖いぞ。世の中小企業のシャッチョさんが次々にネトウヨ化して行く可能性もなきにしもあらずだ。
誰かがねじ込んだのか、もともとそういう人たちなのか、いまひとつ判然としないのだが、世のシャッチョさんに熱く支持されている雑誌がこれだもの。彼らは「人間力を高める(って言葉もどこか危ういことは確かだが)」系の記事を何度も何度もうなづきながら読んだ後で渡部昇一の記事を読む。同じ雑誌で、同じテイストで書かれたネトウヨ記事と「人間力?」との論理的整合性はない。しかしこういうのこそ恐ろしい。ネトウヨ的思考への批判を、この雑誌の愛読者であるところのシャッチョさんにぶつけても、彼らは絶対的な共感を持つ「人間力」系記事を思い浮かべ「ああいう素晴らしい人たちに支持されている国論を否定するお前らは人間力がない甘ったれなんだろう」と断じるだろう。
これを「卑怯」と呼ぶ気にはなれない。どこの誰だか知らないけど「ウマくやりやがったな」と思うし、理念だ思想だで未だギロンばっかりしてる自称リベラル勢ではこの動きを止めることができないことを歯痒く思うばかりだ。
まあ大月書店あたりがこの手の雑誌(ベクトル逆なやつ)をつくったら、とか思うと、それはそれでキモチワルイのだけども(笑)