ファシズムと愛国の間には昏くて深い河がある

Twitterを眺めていると、問題意識がフォローしている人と似通って来る。自分が政治と相対する「現場」を持っているならそうはならんのだろうけど、本屋の件はさっぱり進展しない。この似通り方はやや気持ち悪いものがあるのだが、とりあえず思ったことを述べて行くより他ない。
アンネの日記の件。単純に全世界の「戦後」そのものに誇大な否定の感情を持ったガキ(もしくは子どもみたいな大人)によるいたずらと見るのが自分にとって一番しっくり来る。百田の「原爆も大虐殺」発言がある層で喝采を浴びたのを見て「おいらも」と調子こいちゃった。みたいな。実際問題やった連中にとっては「その程度のこと」だったのでは?しかしネットde真実なやつらが思っている以上に世界は広い。これほどまでに全世界の注目を集めるのは要するに、アメリカ主導の世界秩序ってやつの片棒を担いでいたはずの日本が、アメリカ主導の世界支配に異を唱えたフセインアルカイダ北朝鮮他の一群に寝返ろうとしているのかどうか、という興味なのだろう。ホロコースト否定というのは西側主導の世界運営そのものへの野次を意味する。今後国連のとる態度と、それへの日本の対応次第で日本は目出度く「テロリスト国家」の仲間入りを果たす。
のだが、当面「またネトウヨがやらかしやがった」程度の反応の方がいい気がしないでもない。昔流行った「劇場型犯罪」と一緒で、ああいう手合いは騒がれれば騒がれるほどワクテカしちゃうから。
それにしても、ネトウヨ層の「愛国」が分からない。揶揄的な意味でなく、素で「分からない」のだ。ついこないだまで同盟国アメリカを強調してきた彼らが、靖国での日米摩擦以降アメリカなんて知るか!になっている。この際彼らに頼んで沖縄他米軍基地の撤収運動でもやったら結構いいとこ行くんじゃないか?彼らが今アメリカをどう捉えているか、で、アンネの日記事件の見方は180度変わる。もちろん連中も一枚岩ではないのだろうけど。
まあ、そういういかにも政治な意味はおいといて、本当に彼らの「愛国」とはなんだろう?以前ネトウヨくんに絡まれた際、あんたの守る「国」ってなんだ?と聞いたら「日本」の一点張りだった。なので、「オレにとっての日本は東北の営みなのだ、これを侵した東電とその周辺を倒したいから日本人として協力してくれ」みたいなこと言ったのだが、日本を侵す中国をやっつけろと意気盛んだった彼はおいらの言葉に発狂した。
彼らには愛する人や、町や、文化や歴史がないのだろうか。それを具体的に「護ろう」と考えた時、現政府がどれだけその逆を行っているかはすぐ分かるはずなのだが。
彼らの護る「日本」が安倍とその一派のみを指している時のみ、彼らの主張は整合性を持つ。しかしそれは「ファシズム」であって「愛国」ではない。