「脱原発したきゃ代案を出せ」論の誤解

悲鳴か何かのように聞こえてくるのだわ。「脱原発したきゃ代案を出せ」
もっともな論に聞こえるんだけど、なぜこの意見がとても虚ろにしか響かないかというと、日本でまじめに脱原発を考えている人は究極的には「電気依存から脱却すりゃいいじゃん」と考えているからじゃないかね?
正月の里帰りで驚いたのは、母は既に炊飯ジャーを使っていない。小さな釜をガス台にのせて、三合ほどのごはんなら十五分くらいで炊けるのだそうだ。自分も原発事故以来電気代のかかるデスクトップPCには全く触らなくなった。部屋に無意味に挿してあったACアダプタは抜きっぱなしである。それだけで電気代月額は二千円以上減っている。特に不都合は感じていない。
そういや、被災地を抱える岩手県の県庁所在地、盛岡のイオンは、直接の被害はほぼなかったにも関わらず震災後三年が経過しようという今でも省電力営業している。こちらとしてはそれが当たり前だと思っていたが、里帰りすると首都圏はどこもそんな気配がなかった。
使わなくても回るんだから使わなきゃいいじゃん、と、多くの人が思っている。そしてあれだけ心配された去年の夏は原発なしでピークを越えたという「実績」までできた。
それでも、脱原発の人はそういうことは言わない。原発推進派が心配する「経済」への悪影響が、間違いなくあることが分かっているから。かく言う自分もそういう意見は控えてきた。
けどさあ、アベノミクスとやらがあれだけ「景気対策」と称して中流以下を締め上げて、その成果があった!と大騒ぎして、結局得してるのが富裕層だけなら同じじゃね?と思うようになってきた。被災地で何年も仮設に閉じ込められてる人を尻目に、好景気(ですか?)の恩恵を得た一部の人たちは国内消費になんの影響もない輸入車買ってるんだもの。「経済」がそいつらのためにしかならないんだったら、そんな「経済」捨てたほうがよくないか?と思うようになってきた。なにしろ、さんざん苦労させてくれる国から、その見返りが全くない。これでこの一年、ある程度こちらの暮らしぶりもよくなって来ているのならまだ「経済」とやらに遠慮もするかもしらんけど、今の日本、

1)景気対策の恩恵が富裕層にしか行かない
2)その景気に悪影響だから、というから「電気消費減らせば?」論は控えてきた
3)どうせ景気対策とやらで得するのがオカネモチだけなら、
 そんな経済のために原発操業に目をつむるなんてバカバカしくね?
という論理がそろそろ表に出てきてもおかしくない。原発動かしても、景気対策とやらをしても、何をしてもオカネモチしか得してないんだもん。
国連さんが最近日本のせいで大忙しだよね?原子力利用のコモンセンスをつくろうとしても「受け入れられない」とほざく政府。特定秘密保護法審議の際は異例の警告。しかも最近じゃ「日本の最低賃金は先進国最低レベル。パートと正社員の格差は発展途上国並み」なんて発表までしてくれて。こういう、世界的な非常識を押し切ってまで得をしてるの、日本のオカネモチだけでしょ?
金がないなら生活を慎めばいい。中流以下の人は当たり前にそう思っているし、実際今そういうことになっているわけ。電気だって、ないなら使わなきゃいい、でちゃんと生活は回るわけ。
それをまー、オカネモチは「今までどおり電気をガンガン使えなきゃヤダヤダ!」とだだこねる?世界中に放射能振りまいてまでやること?