特定秘密法案参院可決。まず落ち着いて欲しい

宵の口からTwitterをちらちら眺めていた。国会前のデモを応援していた。それでもやっぱりどこかで諦めていた。既にあとの祭りであることをなんだかんだで多くの人は分かっていたのではないか。打つ手はなくなり、それでもやるせない気持ちを吐き出さずにはおれずに集まったのがあの人たちだろう。たぶん。そして、そんな中でもやっぱりどこかで奇跡が起きやしないかと、自分も含めそんなお人好しの気持ちを心の片隅に隠していてもいたのだろう。怒りをぶつけるためのデモだ。主張を超えてしまっている。だから荒れないわけがない。みなが無事に帰宅することを心から祈っている。
とにかく決まってしまったのだ。だからとにかくこれまで以上に考えなければならない。
今の政府の人たちは「理解されずともやらねばならぬ」的なヒロイック気分に集団でわざわざ浸りに行っているのだろう。そういう人にただの怒号を投げても無駄でしかない。
前回の日記でも書いたが、特定秘密法案も治安維持法もなにかを守るための法律である。政府の人たちに誠を求めるならひとえにその一点のみと言っていい。採決を真珠湾攻撃の出陣時刻にわざわざ限りなく近づけるなど、どうしようもないバカっぷりは既に目に映って来ているが、それでも刃物を持っているのがそのバカたちなのだから、彼らにでも分かる言葉をこちらから産み出して行くしかない。それには彼らにもあるはずの良心を押さえるしかない。
繰り返して言う。特定秘密法案も治安維持法も何かを守るための法律である。
だから、あの法律をひっくり返すには、「それを守るためならこっちの方法の方がいい」という提案か「あなた(がた)が守ろうとしているものは日本国民にとってどーでもいいしろもんだよ」という事実の指摘のどちらかが有効だと思われる。それを探さなければならない。つくりださなければならない。
次に、「自民の横暴を止めなければならない」と言うのは赤ん坊でもできるということを肝に銘じる必要がある。それには、最悪でも今のままの選挙制度を維持したまま次の総選挙に臨み、確実に彼らに代わる、そしてきちんと政治ができる勢力を当選させなければならない。現状を見ればこれは絶望的だ。絶望的だからこそもうヤジなんて飛ばしてるヒマは一瞬たりともないのである。
少し具体的な話をすれば、特定秘密法案が「安全保障」のためというお題目である以上、しきりにメディアどもが祀り上げる「隣国の脅威」がどれだけ脅威なのかを冷静に分析する必要があろう。私の仲間うちが知る限り、尖閣諸島の場所を正確に知って、そこの領土権について真剣に主張している中国人はいない。メタンハイドレードの利権がどーたら主張する声は国内ではさんざん聞かれるが、「ぶっちゃけ日本人だけだよそんなことで騒いでるの」と知人の中国人は断言した。つまり今の中国が日本に侵攻する可能性は、私が知る限りにおいては限りなく低い。あるとしたら中国の不安定な政情のあおりを食うというかたちでの開戦だろうが、幸いにも我々は特定秘密法案をプッシュして日本を軍事大国にしたい人たちがごく一部しかいないのと同様に、日本憎しで大騒ぎしている中国人もごく一部であることを知っている。
だから大手メディアが騒ぐ隣国の脅威がマボロシでしかないことを示し得る草の根メディアだって出てき得るんじゃないかと思っている。
次に、政府が「国家の利権」と言った時、それは中央のごく一部にしかうまみのない利権でしかなかったことを我々は'00年代にさんざん知らされた。彼らの言う利権とは具体的にどのようなものなのか、それは国全体で命を賭けて守るべきものなのか、について常に考える必要がある。オリンピックより、オスプレイより自分らの暮らしはよ!?と怒り心頭の人たちは東北に山ほどいる。
それから、これまでもフクシマのことを中心に「知ったらもう引き返せない」くらいの情報を取材し、知らせて来てくれた草の根メディアがいたにも関わらず、それが世論を動かすには至らなかった理由を自分らは死ぬほど考えなければならない。これからはそんな情報が減って行くのだ。得ることのできる情報を最大限活かす方法を考える必要が絶対ある。
なにしろ、もう、誰かやどこかに対して当り散らしているヒマなんてないのだ。まず、落ち着こうぜ。